消化仕入の会計処理(収益認識基準)


こんにちは!公認会計士クロです!
今回は消化仕入の会計処理について解説してきます!
この記事は以下の疑問に答えます!
消化仕入とは何?
消化仕入の会計処理は?
本人と代理人の判定要素は?
一般的な仕入(買取仕入)との違いは?
消化仕入とは?

消化仕入とは、百貨店や総合スーパーなどの小売業者が陳列する商品の法的所有権は仕入先(メーカーや卸業者)が有しており、小売業者が顧客に販売した時点で同時に仕入計上する取引を指します

普通の仕入(買取仕入)と何が違うんですか?

消化仕入では仕入先から商品を仕入れたタイミングでは特段の会計処理はしないところが特徴的ですね!
消化仕入の取引フロー図


一般的な消化仕入取引では、A社(小売業者)は商品を陳列してメーカーの商品の販売の機会を仕入先に与えているだけとなります!
一般的な消化仕入契約の特徴
・商品に関する責任(品質の問題や売れ残りリスク等)は仕入先(メーカー)が負う
・商品の法的所有権は仕入先(メーカー)にある
・販売価格の決定権は仕入先(メーカー)が持つ
・商品が顧客に販売された場合、A社(小売業者)は売上から販売手数料を差し引いた金額を仕入先(メーカー)に支払う義務を負う

収益認識基準で論点となるのはA社(小売業者)の売上を総額で計上するのか、純額で計上するのかというポイントです!(本人と代理人の区分)
消化仕入の会計処理


消化仕入は顧客(エンドユーザー)に販売された時に会計インパクトがあります!

確かにA社(小売業者)は特段のリスクを負ってなくて、販売するスペースを貸しているだけだから、手数料分のみを収益計上すべきというのはイメージ出来ました!
・企業が取引の本人に該当する場合は収益を総額で表示、代理人に該当する場合は収益を純額で表示(適用指針39項、40項)
・財又はサービスが顧客に提供される前にそれを支配している場合は本人、支配していない場合は代理人(適用指針43項)
・当該消化仕入ではA社(小売業者)は財又はサービスを支配していないと考えられる
・したがって、A社(小売業者)は代理人に該当し、収益を純額で計上
支配しているかどうかを判定する要素


実務では上記のような要素に限らず、総合的に判断していく必要があります!
収益認識基準における本人と代理人について知りたい方は以下の記事がオススメです!
例題(設例30)小売業における消化仕入等


A社(小売業者)が財又はサービスを支配しているか?
A社(小売業者)は取引の本人?代理人?
A社(小売業者)の収益計上方法は総額?純額?


【前提条件②】
A社は、消化仕入契約の対象の商品Yを10,000円で顧客に現金で販売した。同時に、商品Yの仕入先B社との消化仕入契約に基づき買掛金を8,000円で計上した。


A社は代理人に該当するため、販売手数料分(2,000)だけ収益認識をして、
顧客から受領した代金と手数料の差額は仕入先に対する債務として認識する
消化仕入のメリット・デメリット


消化仕入のメリット
・在庫リスクが無い(保管費や廃棄損等の負担が無い)
・契約次第で多品種の商品を取り扱う事が出来る
・利益率(手数料率)が契約で一定
消化仕入のデメリット
・価格裁量権が無い又は裁量の範囲が狭い事が多く、利益率が買取仕入より低い傾向にある
・手数料収益分のみを収益計上するため、買取仕入(売上総額計上)に比べてトップラインが小さい
・商品の設計やブランディングを仕入先(メーカー)に任せすぎると購買者の消費活動が低迷するケースもある
参考基準
企業会計基準第30号 収益認識に関する会計基準の適用指針 設例
終わりに
最後までお読みいただきありがとうございました!
消化仕入については、収益認識基準の適用前に総額で収益計上していたケースなどは
純額に変更すべきか検討が必要な論点なので頭に入れておくと良いと思います!!
少しでもお役に立てれば幸いです!
それでは次の記事でお会いしましょう!
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