
こんにちは!公認会計士クロです!
今回は2020年3月期において、KAMを早期適用して監査報告されている主要32社をまとめました!

そもそもKAMってなんですか?

KAMは、監査報告書に組み込まれている”監査上の主要な検討事項”のことです!
基本的な情報は以下の記事を参考にどうぞ!
今回の記事はこんな方にオススメ
・KAMの適用事例を簡潔に見てみたい方
・気になる業種の監査上の主要な検討事項を知りたい方
・KAMを適用している実際の監査報告書が見たい方


各社の有報リンクをクリックして、一番後ろまでスクロールした辺りに監査報告書があるので、詳細が見たい人にオススメです!
リンク先ではKAMの具体的な内容、決定理由、監査上の対応が詳しく載っています!
銀行


【各社 IR情報リンク】
㈱三菱UFJフィナンシャル・グループ 2020年3月期有価証券報告書
㈱三井住友フィナンシャルグループ 2020年3月期有価証券報告書
㈱みずほフィナンシャルグループ 2020年3月期有価証券報告書


上記の全ての銀行において、貸倒引当金がKAMとして認識されています
利息返還損失引当金とは貸金業者が債務者から利息制限法の上限金利を超過して支払った利息の返還請求に起因して生じる返還に備えて設定する引当金です


ああ、「過払金があれば、借金を減らせる!」っていっているCMを見たことあります
証券


【各社 IR情報リンク】


上記の証券会社は金融商品の評価においてKAM認識されています
野村ホールディングスの繰延税金資産の評価の妥当性については新型コロナウイルス感染拡大による影響についても言及されています


大和証券の営業投資有価証券の評価については、減損損失又は投資損失引当金の計上の要否が重要そうですね
保険・その他金融


【各社 IR情報リンク】


上記の保険会社は主に責任準備金についてKAM認識されています


責任準備金ってどんな勘定科目なんですか?


責任準備金とは、保険会社が将来の保険金給付や解約支払いなどに充てるために積み立てておく必要がある準備金のことです!
一般的に保険料や運用収益を財源としており、保険業法で義務付けられています!
不動産


【各社 IR情報リンク】
野村不動産ホールディングス㈱ 2020年3月期有価証券報告書
東急不動産ホールディングス㈱ 2020年3月期有価証券報告書


上記の不動産会社では販売用不動産や賃貸不動産の評価についてKAM認識されています
電気機器


【各社 IR情報リンク】


三菱電機と富士通はIFRS適用企業です!
どちらも工事進捗度の見積り(収益認識)についてKAM認識されています
医薬品


【各社 IR情報リンク】


上記の医薬品メーカーは全てIFRS適用企業です
昨今の医薬品メーカーではM&Aが活発に行われており、
IFRSではのれんを償却しないので、評価についても特に重要なポイントとなります
卸売業


【各社 IR情報リンク】


上記の商社は全てIFRS適用企業です
主に海外への事業投資の評価や持分法適用会社の評価についてKAM認識されています
小売業


【各社 IR情報リンク】


上記の小売業者では主に店舗固定資産の減損等がKAM認識されています


え、店舗単位で固定資産を減損するんですか?


小売業者は店舗別に投資意思決定を行って管理しているケースが多いから、固定資産のグルーピングの単位が店舗になることが多いよ
化学


【各社 IR情報リンク】
㈱三菱ケミカルホールディングス 2020年3月期有価証券報告書


上記の化学メーカーは全てIFRS適用企業です


IFRS適用企業はのれんをKAM認識しているケースが多いですね


確かにその通りだけど、そもそも”のれん”の金額が大きい企業や海外進出が活発な企業などがIFRSを導入しているため、結果的にのれんの金額的重要性が高くなりやすいという見方も出来ますね
自動車


【各社 IR情報リンク】


上記の自動車メーカーでは製品保証やリコールなどに関連する引当金がKAM認識されていますね


そういえば、近年の不正は海外子会社に絡んでいる事例が増えてますよね・・難しそうです
その他①(情報通信業・サービス業)


【各社 IR情報リンク】


ソフトバンクはIFRS適用企業です!
ソフトバンクのZOZO取得(子会社化)については以下の事項が具体的に言及されています
・会計方針の決定、遡及修正再表示及び開示の正確性
・取得対価配分(PPA)の適切性と認識された無形資産の評価
・取得したのれんの評価


基幹システムを次期システムへデータ移行して導入するのは大きな出来事ですよね・・・不具合などが生じて巨額の不明差異が発生してしまう事もあると聞いたことがあります
その他②(エネルギー・鉄鋼)


【各社 IR情報リンク】
ENEOSホールディングス㈱ 2020年3月期有価証券報告書


上記2社ともIFRS適用企業です
ENEOSホールディングス(株)の石油・天然ガス開発セグメントについては、原油・ガス価格の下落の影響により多額の減損損失を計上しています


原油価格の下落や実需の低迷が悩ましいですね・・・
まとめ
全体まとめ
・9割以上のKAMが会計上の見積りや資産評価に関連している
・KAM単体は関係会社株式の評価がKAM認識される傾向がある
・基幹システムの変更による影響やITシステムの信頼性はKAM認識されやすい
・IFRS適用企業はのれんや無形資産の評価がKAM認識される傾向がある
今回のKAM早期適用している主要32社のまとめはEDINETの全文検索で”監査上の主要な検討事項”がヒットした企業の中から公認会計士クロが独自に抽出した分のみを記載しております
既にKAMを適用している企業を網羅的に示す内容ではございませんが、主要な企業は押さえられていると思います!
監査の視点から言えば、他社のKAMを読んだだけど、深い理解が得られるわけではありませんが、
業界ごとの主要な論点を軽く頭に入れておくだけでも、少し視野が広がると思います!
少しでも参考になれば幸いです!
それでは次の記事でお会いしましょう!!!
【PR】
転職活動をお考えの方は以下のエージェントもおすすめです!無料会員登録するだけでも、業界の転職情報を入手できます!!
⇩転職活動初めての方にオススメ⇩