
こんにちは!公認会計士クロです!
今回は収益認識基準のstep4履行義務への取引価格の配分について解説していきます!

やっと、収益の認識(step5)に近づいてきましたね・・・

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取引価格の配分

取引価格の配分で押さえておく基準は以下の2つ!
それぞれの履行義務(あるいは別個の財又はサービス)に対する取引価格の配分は、財又はサービスの顧客への移転と交換に企業が権利を得ると見込む対価の額を描写するように行う。
企業会計基準第29号収益認識基準に関する会計基準 65項 抜粋
財又はサービスの独立販売価格の比率に基づき、契約において識別したそれぞれの履行義務に取引価格を配分する
企業会計基準第29号収益認識基準に関する会計基準 66項 抜粋


商品のセット売りをした時に提供されるサービスまたは商品の各価格に基づいて収益を認識をしようという事ですね!
以前解説した設例1(商品の販売と保守サービス)のフローがイメージしやすいと思います!

独立販売価格とは、財又はサービスを独立して企業が顧客に販売する場合の価格のことを指します!(同基準9項参照)
上記の設例解説は以下の記事に記載しておりますので、ご参考にどうぞ!
値引きの配分


履行義務への取引価格の配分において、値引きの配分の理解も必要なので、以下の2つを押さえておく良いでしょう!
契約における約束した財又はサービスの独立販売価格の合計額が当該契約の取引価格を超える場合には、契約における財又はサービスの束について顧客に値引きを行っているものとして、当該値引きについて、契約におけるすべての履行義務に対して比例的に配分する。
企業会計基準第29号収益認識基準に関する会計基準 70項 抜粋


商品のセット売りは、単体で購入するより安くなっているケースが多いですよね?
値引き分は履行義務ごとに比例的に配分するということですね!
ただし、以下のような会計処理も留意が必要です!
次の(1)から(3)の要件のすべてを満たす場合には、契約における履行義務のうち 1 つ又は複数(ただし、すべてではない。)に値引きを配分する(適用指針[設例 15])。
(1) 契約における別個の財又はサービス(あるいは別個の財又はサービスの束)のそれぞれを、通常、単独で販売していること
(2) 当該別個の財又はサービスのうちの一部を束にしたものについても、通常、それぞれの束に含まれる財又はサービスの独立販売価格から値引きして販売していること
(3) (2)における財又はサービスの束のそれぞれに対する値引きが、当該契約の値引きとほぼ同額であり、それぞれの束に含まれる財又はサービスを評価することにより、当該契約の値引き全体がどの履行義務に対するものかについて観察可能な証拠があること
企業会計基準第29号収益認識基準に関する会計基準 71項 抜粋


次の章で具体的な設例を解説しております!
【設例15-1】値引きの配分


【出典、参考基準】
企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」の設例
設例前提
①A社は、通常、製品X,Y及びZを独立して販売しており、独立販売価格は以下の通りである
製品X:40千円、製品Y:55千円、製品Z:45千円 合計:140千円
②A社は、通常、製品YとZを組み合わせて60千円で販売している
③A社は、製品X,Y及びZを100千円で販売する契約をB社(顧客)と締結
④それぞれの製品に係る履行義務を異なる時点で充足する
分析及び会計処理


本来であれば、販売価格をそれぞれの独立販売価格で按分するところですが、
製品YとZの組み合わせで値引販売しているケースもあるため、
どの商品が値引き対象となるべきか?という着眼点が必要です!
会計処理(結論)


分析
✅契約には取引全体に対する40千円の値引きが含まれており、同基準70項に従って、取引価格を独立販売価格の比率に基づき販売する場合は、3つの履行義務すべてに比例的に値引きを配分することになる
✅しかし、通常、製品YとZを組み合わせても60千円で販売しており、その値引き額は40千円となる
✅したがって、当該契約は製品X40千円と製品YとZセット販売60千円で構成されていると考えられる
✅同基準71項に従って、値引き40千円については製品YとZの取引価格に配分すべき
✅製品Xは独立販売価格、製品YとZは値引きを独立販売価格の比率で反映した価格とする
終わりに
最後までお読みいただきありがとうございました!
履行義務への取引価格の配分は、今までまとめて収益計上していた製品を細分化して会計処理していく可能性があります!
実務上の負担は増える要素もあると思いますが、最初に行う整理が重要となってきますね!
それでは次の記事でお会いしましょう!!!