
こんにちは!公認会計士クロです!
今回は新型コロナウイルスの影響を受けて、原則、在宅勤務で期末の会計監査に従事した経験を記事にしました!

監査人って現場(クライアント先)に出向いてなんぼでしょ!
お家でサボっていたんじゃないの?

想像以上に大変だったよ!
今回の記事では以下の内容を知ることが出来ます!
本記事の内容
・在宅勤務で行う会計監査の実態
・従来の監査の進め方との相違点
・リモート会計監査の今後の見通し
新型コロナウイルスが会計監査実務に与えた影響

我が国は3月決算の企業が圧倒的に多く、監査をする監査法人や企業の経理部門は1年間の決算に向けて、毎年4月~5月は多忙を極める。
⇩⇩繁忙期の詳細は以下の記事が参考になります⇩⇩
そのような中、2020年3月期は新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言を受け、多くの監査法人が原則、在宅勤務を実施し、リモート監査を実施せざるを得ない状況になりました。
実際に私が関与していた監査チームもほとんどクライアント先には伺わず、交代制で週に1回程度の出勤(時差出勤・短時間)でした!
リモート会計監査の実態~従来との主な変更点~


私が関与している監査チームでは上記の通り、従来と監査のやり方を大きく変わりました!
大手監査法人の多くがVDI(仮想デスクトップ)を導入しているため、データの管理や成果物は全てサーバー上で行われる。
社用PC自体にはデータが残らない仕様となっているため、データ共有やセキュリティの観点からも在宅勤務に切り替えやすい環境が整っている。
率直な感想としては、リモート監査で業務量は増えたが、予想以上にリモートで出来るなという印象でした!
上記の変更点を一つ一つ解説していきます!
紙の証憑VSデータの証憑
従来は紙でご用意していただいていたエビデンス(証憑)も出来る限りPDF等のデータで共有してもらうように事前にクライアントにお願いをした。
データによっては容量が大きいため、メールでの送信が難しい場合もある。
そこで、監査法人内で推奨しているデータやり取り用のオンラインストレージを使用したため、かなりスムーズな対応が出来た。
緊急事態ということもあり、協力的なクライアントが多かった。
現場往査VS在宅勤務
週1×少人数の現場往査については、PDF化が難しい紙のエビデンス(証憑)を現場で見るために、人数と時間を絞って対応しました。
短時間の中で予定していた作業を完遂しなければならないので、現場に行く時は、普段より緊張感があります。
対面での会議VS電話会議またはWeb会議
期末監査では、手続の過程で経理担当以外の事業部(営業部やシステム部等)にヒアリングしたり、経理部長や役員の方と決算概況を共有してもらう会議を行う事が一般的です!
当期は新型コロナウイルス感染症対策として、ほぼ全ての会議をオンラインで実施しました!
私が出た会議は基本的に顔を写さない音声のみの会議だった。
自分がメインファシリテーターの会議では、相手の表情や反応が読み取りにくく、普段よりやり辛かった。
事前のアジェンダをしっかりと作りこんで共有しておけば、必要な情報は十分に得られる。
電話会議等は場所が自由で予定を調整しやすいため、今後も積極的に使っていくと良いだろう。
質問は対面VS質問はメール又は電話
従来はお借りしている監査室に担当者を呼び出して、同じPC画面や資料を見ながら質問をしたりする場面があったが、当期は遠隔のため対面で質問する事が出来なかった。
したがって、メールや電話で質問が中心となる。
とある会社では監査法人の担当者が顧客に別々に電話をするため、顧客の電話が鳴りっぱなしで少し困らせてしまう場面もあった。
メールを作ったり、事前に資料を送ってから電話をしたりする分、従来より業務量は増えている印象でした。
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リモート会計監査の良かった点


リモート監査の良かった点については以前に記事した在宅勤務のメリットの通りであった。
一部付け加えるとすれば、自分の作業に集中出来る時間が増えたことです!
普段の監査現場では周りの人が話している事が自分の検討科目に関連することもあるため、聞き耳を立てていることが多いが、在宅ではそれが無いため集中しやすい。
また、個人的な印象だが後輩から質問される頻度が少し減ったため、自分のタスクに集中する時間が増えた。
隣にいると気軽に質問するが、遠隔になると自分で調べる時間が増えたり、まとめて質問する人が増えた印象でした。
遅くまで仕事する日も多々あったが、始業時間まで寝ることが出来るため、明日のことを気にせず目の前のことに全力投球しやすかったのは個人的に気に入っている。
リモート会計監査の悪かった点


悪かったところを挙げるとキリが無いため、個人的に印象的だったところを挙げていきます。
電話会議や社内ミーティングが急増
多くの職員が複数の監査チームにアサインされており、期末監査を同時並行で進めている場合もある。
監査チーム毎に進捗管理や本日の対応状況を報告するために電話会議を実施するため、1日の電話会議が4件以上ある日も多かった。
パートナーやマネージャークラスになると、日常的に一日に複数のミーティングがあったりするものだが、スタッフ層からすれば、いつもより多く感じたかもしれません!
会議中も自分に関係無いところは軽く聞きながら作業をしているが、やはり集中力が落ちる時もある。
リモート監査は初めての体験なので管理する方も大変でした。
会議の頻度や進捗管理は今後の課題になると思います。
確認手続(確認状対応)が遅れる
確認手続は監査人がクライアントの取引先等の第三者に対して文書により問い合わせを実施し、監査人がその回答を直接入手する手続きである。
確認状は証明力が高くて、期末時に有効性の高い監査手続であるが、当期は緊急事態宣言を受け、確認先の会社がテレワーク等を実施しており、回収が遅延するケースが散見された。
通常、監査報告書日までに回収できない可能性があると判明した時点で代替手続を実施する。
当期は例年より回収時期が後ろ倒しになる傾向があったため、代替手続を実施するケースが増えた。
また、確認状の回収確認は基本的に監査法人の事務所で行うが、出社の制限がかかっていたため、適時に回収を確認出来なかった。
出社申請を出して、事務所に行ったスタッフは、自分の関与チームの確認状を回収、内容チェック、PDF化してチームに共有等、業務量は多くなってしまったと考えられる。
新人のOJTが難しい
例年、研修を終えた新人は3月決算の監査対応に放りこまれる。
タスクの内容によっては、一から説明するより、上位者が一人で実施してしまった方が早いものもある(普段は時間がかかったとしても、OJTとしてしっかり教える)。
リモート監査では、隣に座っていつでも教えられるような状況で仕事をお願いできないため、仕事の振り方が難しい。
結局、簡単な作業や雑務を中心に仕事をお願いするケースが例年より多くなった印象である。
何より、チームのタスクが全体的に逼迫している状況で新人フォローをするリソースを作るのが難しい面もあった。
新人目線で考えてみると、まだ顔も見たこともない上司から仕事を振られて、適時に質問や相談する事に抵抗感があったのでは無いだろうか。
質問する時はまとめて聞いたり、オンラインで画面共有しながら電話する等の工夫が効果的であったと感じる。
紙ベースで作る監査調書の対応に時間がかかる
今は殆どの監査調書がデータ(ExcelやWord)で作成するが、未だに開示書類等の検討は紙調書で作ってからPDF化する対応を取っている監査チームもある。
当期は在宅勤務のため、紙ベースでの作成が出来ず、PDFを直接加工するツールを使って対応したが、不慣れな人が多くて時間がかかっていた印象です。
リモート会計監査の今後の見通し


新型コロナウイルス感染症の影響が終息したとしても、リモートワークは部分的に導入される可能性が高い。
緊急事態宣言が起きる前から働き方改革の一環として在宅勤務を試みていた監査法人もあります。
今回は半強制的な形でリモート監査を実施することになったが、今後は現場往査は週2程度で残りは在宅勤務等の選択肢もあるのではないでしょうか。
在宅勤務を上手く使えば、都内で借りている事務所の高い賃料を払わなくても監査法人の経営を十分に続ける事が出来る時代が来るかもしれません。
個人的にも、本当に忙しい時は通勤時間も仕事をしておきたいと思うので、是非、推進していきたいと思います!
終わりに
最後までお読みいただきありがとうございます。
今回はリモート監査を実際に経験して印象に残ったところを記事にしました!
監査実務上の留意点やコロナ特有の会計論点については、別の記事で紹介出来ればと思います!
リモート監査導入時は業務量が増えてしまう印象ですが、今後はもっと効率化できる余地があると思います!
リモートのような働き方に変わったりしても、上手く順応している人達は評価されている印象があります。
それでは次の記事でお会いしましょう!!!