
こんにちは!公認会計士クロです!
今回は収益認識基準設例21(重要な権利を顧客に与えるオプション)の解説していきます!

いきなり言われても・・・何の論点なんですか?

類似性のある論点は自社ポイントの付与に関する会計処理かな!前回の記事も読んでみよう!
【参考基準】
企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」の設例
設例21(重要な権利を顧客に与えるオプション(更新オプション))


設例前提
①A社は製品Xのメンテナンス・サービスを提供する契約(1年間)を締結
②顧客は☓1年度末及び☓2年度末に追加で1,000千円を支払うと翌年度に契約更新できる
③契約を締結していない顧客が☓2年度又は☓3年度にのみサービス購入を選択する場合、A社は著しい高い金額(☓2年度3,000千円,☓3年度5,000千円)を顧客に請求する
④顧客が☓1年度に支払う1,000千円の一部は、実質的に、その後の年度のサービスに対する返金が不要な前払いである
⑤更新オプションはメンテナンス・サービスを継続するためのものであり、当該サービスは既存の契約と同じ条件で提供される
⑥A社は契約における取引開始日に、契約全体の予想される対価総額を271,000千円(=1,000千円×100件+1,000千円×90件+1,000千円×81件)と見積もった
⑦その他契約内容(以下の通り)


結論・会計処理
契約全体の予想される対価総額を予想コストの比率に基づいて配分する


契約における取引開始日


(計算式) 1,000×100件=受取対価100,000千円
【ポイント①】
受取対価を☓1年度に予想される収益(77,986千円)と更新オプション(22,014千円)に配分する
☓1年度末に予想どおり顧客90名が契約を更新した


(計算式) 1,000×90件=受取対価90,000千円
【ポイント②】
年度末までに受け取った対価190,000千円のうち、77,986千円を収益として認識
判断過程・分析
設例前提③
製品Xの購入時にメンテナンス・サービス契約せずに☓2年度以降に契約しようとする場合、契約金額が著しく高くなる。
したがって、メンテナンス・サービス契約を更新できるオプションは契約を締結しなければ受け取れない重要な権利と判断できる(以下参照)
顧客との契約において、既存の契約に加えて追加の財又はサービスを取得するオプションを顧客に付与する場合には、当該オプションが当該契約を締結しなければ顧客が受け取れない重要な権利を顧客に提供するときにのみ、当該オプションから履行義務が生じる。この場合には、将来の財又はサービスが移転する時、あるいは当該オプションが消滅する時に収益を認識する。
重要な権利を顧客に提供する場合とは、例えば、追加の財又はサービスを取得するオプションにより、顧客が属する地域や市場における通常の値引きの範囲を超える値引きを顧客に提供する場合をいう
収益認識に関する会計基準の適用指針48項 より抜粋
設例前提④
顧客が☓1年度に支払う1,000千円の一部は、実質的に、その後の年度のサービスに対する返金が不要な前払いであるため、A社は、オプションを提供する約束は履行義務であると結論付けた。
設例前提⑤
更新オプションはメンテナンス・サービスを継続するためのものであり、当該サービスは既存の契約と同じ条件で提供される。
したがって、A社は、更新オプションの独立販売価格を直接見積らず、収益認識に関する適用指針第51項(以下参照)に従って、A社が提供すると見込まれるサービスと交換に受け取ると予想される対価を算定し、取引価格の配分を行う
契約更新に係るオプション等、顧客が将来において財又はサービスを取得する重要な権利を有している場合で、当該財又はサービスが契約当初の財又はサービスと類似し、かつ、当初の契約条件に従って提供される場合は、前項の定めに基づいたオプションの独立販売価格を見積らず、提供されると見込まれる財又はサービスの予想される対価に基づき、取引価格を当該提供されると見込まれる財又はサービスに配分することができる
収益認識に関する適用指針第51項より抜粋
終わりに
今回の重要な権利を顧客に与えるオプション(更新オプション)はソフトウェア開発している企業などの会計処理に直接影響を与えると考えられます!
設例を読んでみて、関連する基準や適用指針に当たる方が個人的にはイメージしやすいと思います!
それでは次の記事でお会いしましょう!!!
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