こんにちは!公認会計士クロです!
今回は新収益基準の適用にあたり、会計処理に大きな影響を与える本人と代理人の区分(収益の純額表示または総額表示)について図解を交えて解説していきます!

本人と代理人の区分ってそんなに大事なんですか?
収益認識シリーズは論点が多くて疲れたんですけど・・・

本人である場合は取引の総額、代理人の場合は報酬又は手数料の純額で収益を認識することになる!
売上の認識方法が総額から純額に変更されるものも出てくるため、会計上、大きな影響を与えるのだ!
まずは収益認識基準の全体像を知りたい人は以下の記事を参考にどうぞ!
本人と代理人は何が違うの?
企業の売上につながる取引に他の当事者が関与している場合、メインのサービス提供者とサービス提供の補助者に分類されます!
以下の例を見てみましょう!


顧客はWeb運営会社のホームページを通じてメーカーの商品を直接購入でき、メーカーの商品がWeb運営会社を通じて販売されると、売上の5%相当の手数料をWeb運営会社が得る契約となっています。


この時、Web運営会社はメーカーの代理でゲームをWeb上で顧客に販売しています。


Web運営会社の売上は以下のどちらになるでしょうか?
①売上100円 (売上原価95円)
②手数料収入5円 (売上原価0円)
ここで本人か代理人の区分の話が出てきます!
Web運営会社がゲームを顧客に提供する本人である場合は、対価の総額となる①売上100円を計上します!(収益認識基準適用指針39項より)
一方、Web運営会社が ゲームを顧客に提供する代理人である場合は手数料部分である②手数料収入5円が計上されます。 (収益認識基準適用指針40項より)


なるほど!じゃあ本人か代理人かでトップライン(売上)が大きく変わるんですね!判断基準とかあるんですか?


目の付け所が良いね、ワトソン君!次の章で解説しよう!
本人/代理人の区分判定
本人と代理人の判定は、顧客に約束した特定の財又はサービスの単位で判断しなければならず、判断の手順は次の①及び②の手順に従って判断を行う(収益認識基準適用指針42項より)
①顧客に提供する財又はサービスを識別する
②財又はサービスのそれぞれが顧客に提供される前に、当該財又はサービスを企業が支配しているかどうか


・・・文字としてはわかるけど、あんまりイメージ湧かないな・・実務上でのあてはめが難しそう・・・


新収益認識の目玉論点の一つだからね!主要な取引が代理人の可能性があれば、議論の余地があるだろう。
関連する別の指針で本人としての指標が挙げられている。下記を見ていこう!
本人としての指標は以下の通り (収益認識基準適用指針47項より)
①企業が財又はサービスを提供するという約束の履行に対して、主たる責任を有している
②財又はサービスが顧客に提供される前、あるいは支配が顧客に移転した後において、企業が在庫リスクを有している
③財又はサービスの価格の設定において企業が裁量権を有している
ここで例1に前提条件を加えて当てはめてみましょう!
(収益認識基準設例17を参考にしております。)


顧客はWeb運営会社のホームページを通じてメーカーの商品を直接購入でき、メーカーの商品がWeb運営会社を通じて販売されると、売上の5%相当の手数料をWeb運営会社が得る契約となっています。
【契約内容とあてはめ】
1、メーカーの製品を顧客にメーカー自身が提供し、Web運営会社は顧客の購入市場を与えているだけである
👉顧客に提供する特定の財はメーカーが提供する製品であるため、Web運営会社は顧客に財を提供する約束をしていない
2、Web運営会社はどの時点においても顧客に提供される製品の使用を指図する能力を有していない
👉Web運営会社は、ウェブサイトを通じて注文する顧客に製品が提供される前に支配していないと結論付けられるが、別の指標についても下記3にて考慮。
3、Web運営会社は顧客に製品が提供されるよいに手配した後は、顧客に対してそれ以上の義務は負わない
👉Web運営会社は製品を提供する主たる責任を負っていない(負っているのはメーカー)
👉Web運営会社は 在庫リスクが無い。言い換えれば、製品が売れないことが原因で在庫に関する品質劣化や保管費等による損をしない(損するのはメーカー)
👉Web運営会社は取引価格に関して裁量権が無い(販売価格を決めるのはメーカー)
結論・まとめ
Web運営会社が ゲームを顧客に提供する代理人であると考えられるため、手数料部分である②手数料収入5円が計上されます。 (収益認識基準適用指針40項より)


終わりに
今回は収益認識基準の本人と代理人の区分についての解説記事でした!
この分野は収益認識の5つのステップのうち、ステップ2 契約における履行義務を識別するに関連する論点です!
履行義務の識別を誤ってしまうと、売上の期間帰属や金額の妥当性に大きな問題を引き起こしてしまう可能性があるので、注意が必要ですね!
それでは次の記事でお会いしましょう!
公認会計士クロ
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