こんにちは!公認会計士クロです!!
前回の記事に引き続き、ステップ2履行義務の識別を解説する記事となっております!!!
こんな方におススメの記事です!
- 会計監査の実務に従事されている方
- 公認会計士受験生の方
- 経理職の方
- 会計基準に興味がある方
- 経営分析をされる方
収益認識基準の全体像を先に把握したい方はまずこの下記の記事を参考にどうぞ!!!
今回の学ぶポイント


今回は収益認識5つのステップのうち、ステップ2「契約における履行義務を識別」に関連する設例となっております!!!
【設例6-1】インストール・サービス
前提


【補足事項】
当該設例でいうソフトウェア・ライセンスとは、ソフトウェアを使用する権利のようなものです!
インストール・サービスは文字通り、ソフトウェアをインストールして利用者に実装させるものとなります!
ソフトウェア・アップデートやテクニカル・サポートは2年間の保守サービスとなります!
【設例6-1】前提②
1、A社はアップデート・サービス以外の3つのサービスを独立して提供している
2、インストールサービスは利用者の使用目的に応じてウェブ画面を変更することを含みソフトウェアはアップデートやテクニカル・サポートがなくても機能し続ける
3、インストール・サービスは、同業他社も日常的に行っており、ソフトウェアを著しく修正するものでは無い
考え方(前半)
ソフトウェアは、他の財又はサービスが提供される前に引き渡されるため、アップデートやテクニカル・サポートがなくても機能し続ける
(サービスから単独で顧客が便益を享受)
また、B社は取引開始日に移転されるソフトウェア・ライセンスと組み合わせることで、その後のアップデートから便益を享受することができる
(他の資源を組み合わせて顧客が便益を享受)
⇩
履行義務を単一でなく別個として認識する要件(1/2)
(1) 当該財又はサービスから単独で顧客が便益を享受することができること、あるいは、当該財又はサービスと顧客が容易に利用できる他の資源を組み合わせて顧客が便益を享受することができること
企業会計基準第29号 収益認識に関する会計基準 34項(1)
上記にあてはめると、履行義務を別個として認識する要件①34項(1)を満たすと考えられる。
考え方(後半)
履行義務を単一でなく別個として認識する要件(2/2)
(2) 当該財又はサービスを顧客に移転する約束が、契約に含まれる他の約束と区分して識別できること
企業会計基準第29号 収益認識に関する会計基準 34項(2)
上記(34項(2))の要件については収益認識基準適用指針6項の原則を考慮して、以下のように考え方で判定します!
①インストール・サービスは同業他社からも日常的に購入できるため、ソフトウェア・ライセンスを使用して便益を享受する能力に著しい影響を与えない
②ソフトウェア・アップデートは、ライセンス期間中にソフトウェア・ライセンスを使用して、便益を享受する能力に著しい影響を与えない
③いずれのサービスも、一方を著しく修正する又は顧客使用のものとするものではなく、ソフトウェアとサービスの結合後のアウトプットに統合する重要なサービスを提供していない
④ソフトウェア・ライセンスの移転は、その他のサービスと独立して履行することができ、サービス間で互いに著しい影響を与えないため、相互依存性及び相互関連性は高くない
⇩
当該財又はサービスを顧客に移転する約束が、契約に含まれる他の約束と区分して識別できる
したがって、要件②34項(2)を満たすと考えられる。
結論(会計処理)
A社は、契約による提供内容をすべて別個の履行義務として会計処理する。
【設例6-2】インストール・サービス(顧客使用のソフトウェア)
設例6-2インストール・サービス(顧客使用のソフトウェア)は設例6-1の前提条件の一部が変更になったものです!
具体的には、ソフトウェアの仕様が大幅に変更されるケースとなります!
前提
【設例6-1】と同様


【設例6-2】前提②
1、インストール・サービスは同業他社からも日常的に購入できるため、ソフトウェア・ライセンスを使用して便益を享受する能力に著しい影響を与えない
2、ソフトウェア・アップデートは、ライセンス期間中にソフトウェア・ライセンスを使用して、便益を享受する能力に著しい影響を与えない
3、インストール・サービスによりA社のソフトウェアはB社仕様に修正され、大幅な機能追加が定められ、当該サービスは同業他社も提供できる
考え方(前半)
(1) 当該財又はサービスから単独で顧客が便益を享受することができること、あるいは、当該財又はサービスと顧客が容易に利用できる他の資源を組み合わせて顧客が便益を享受することができること
企業会計基準第29号 収益認識に関する会計基準 34項(1)
履行義務を単一でなく別個として認識する要件(1/2)
前提条件②の1および2については設例6-1と同様のため、基準34項(1)の要件は満たしている。
考え方(後半)
履行義務を単一でなく別個として認識する要件(2/2)
(2) 当該財又はサービスを顧客に移転する約束が、契約に含まれる他の約束と区分して識別できること
企業会計基準第29号 収益認識に関する会計基準 34項(2)
上記(34項(2))の要件については収益認識基準適用指針6項の原則を考慮して、以下のように考え方で判定します!
①インストール・サービスにより、ライセンスしたソフトウェアを既存のシステムに統合する
(サービスを結合後のアウトプットを生み出すためのインプットとして使用している)
(指針6項(1))
②ソフトウェアはインストール・サービスにより著しく修正され、B社仕様のものとされている(指針6項(2))
⇩
当該財又はサービスを顧客に移転する約束が、契約に含まれる他の約束と区分して識別できない
したがって、基準34項(2)の要件は満たしていない
結論(会計処理)
ソフトウェア・ライセンスとB社仕様のインストール・サービスは単一の履行義務である。
終わりに
最後までお読みいただきありがとうございます!
履行義務は別個として分けて認識するか、単一として認識するかによって、収益計上の期間帰属に大きな影響を与える場合もあります!
一つ一つを少しずつ理解していければ良いなと思います!!
それでは次の記事でお会いしましょう!!!
公認会計士クロ
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