KAM 監査上の主要な検討事項 わかりやすい解説記事#4

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公認会計士/会計監査News編集長/大手監査法人にて金商法監査・会社法監査業務・その他アドバイザリー業務を経験後、大手FASにて財務DDなどの業務に従事。/ブログやTwitterで公認会計士業界の情報や効率的な仕事術について発信しています!

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KAMとは?監査上の主要な検討事項とは?

KAMとは「Key Audit Matters」の略称で日本語訳は”監査上の主要な検討事項”となります。

定義は以下の通り。

(2)当年度の財務諸表の監査の過程で監査役等と協議した事項のうち、職業的
専門家として当該監査において特に重要であると判断した事項(以下「監査
上の主要な検討事項」という。)

(企業会計審議会、改訂監査基準 第四報告基準 二2(2))

上記は改訂監査基準において、監査報告書に意見表明とは明確に区別して記載しなければならなくなりました。

従来から監査人と監査役の適時コミュニケーションは要求されておりましたが、KAMの導入後は期中監査の過程において重点監査事項の見直しを行い、重要な要点を絞り込みの結果、監査報告書に記載する必要があります。

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KAM(監査上の主要な検討事項)の導入理由・趣旨・性質

監査報告書に対するKAMの記載は監査人の監査意見ではないです。

KAMは監査プロセスに関する情報提供機能を向上させる目的で導入されました。

KAMの基本的な性質は公益社団法人日本監査役協会のQ&A集で以下のように表現されている。

”財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、監査人は当該事項に対して個別に意見を表明するものではない”

監査役等と監査人のコミュニケーションが重要であるから、それを行っていることを対外的にも示するようなというのが趣旨であって、コミュニケーションのやり方とか本質を変えるべきという話ではないです。

ポイントは以下の通りです。

  • 米国、欧州(28か国)でもKAMの導入が開始されている
  • 投資家や株主などの監査報告書利用者に監査の透明性の向上をアピール
  • 監査人と監査役等のコミュニケーションの強化
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KAMの適用対象は?適用時期は?

KAMの適用対象は有価証券報告書提出会社(非上場企業のうち資本金5億未満または売上10億未満かつ負債200億円未満の企業は除く)に対して義務づけられます。

要するに上場企業の監査をしているチームは基本的にマストです。

適用時期は2021年3月期決算に係る財務諸表の監査からの適用となりますので、変則決算の監査チームは前例を見ることもできます(とはいえ監査計画、期中監査の時点で動く話でもあります。)

早期適用は2020年3月期決算の監査からの導入可能です。実際は監査対象会社や監査役と監査人で協議して判断することになります。

会社法上の会計監査人の監査報告書におけるKAMは任意ですが、監査人の現場レベルだとあまりメリットを感じられないため、監査対象会社や監査役の希望がなければ任意適用は少ないと考えられます。

(働き方改革や収益認識の対応などがある中でこれ以上仕事増やしたくないのが本音です。)

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KAMの具体的な記載内容は?

KAMの具体的な記載内容は以下などが想定されます。

①事業上のリスク

事業上のリスクとは以下のように定義されています。

企業目的の達成や戦略の遂行に悪影響を及ぼし得る重大な状況、事象、環境及び行動の有無に起因するリスク、又は不適切な企業目的及び戦略の設定に起因するリスクをいう。

デロイトトーマツHPより

監査人が最初から最後まで常に意識しなければならない事項なのでKAMの記載対象となる可能性が高いです。

具体的な例として大型の企業買収案件やのれん減損リスク等(のれん減損記事参照)が挙げられています。

②特別な検討を必要とするリスク(Significant risk 以下SR)

監査人は経営者の判断の余地がある会計上の見積もりや不正会計の疑いがある取引などをSRとして評価し、徹底的に監査を実施します(実務上、ここを押さえるのが一番重要なので中途半端な手続きをしたら、めっちゃ詰められますし、されたら詰めます。。。)

SRはすべてKAMとなるわけではありませんが、KAM候補なので記載すべきかどうか議論する必要があります。

もちろん他にも記載すべき重要な事項は個々にあるはずなので、今後の監査報告書の動向についても留意する必要があります。

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KAMの導入における実務上のポイント・留意点

  • 2021年3月期以降は監査契約書に契約条件としてKAMの記載が義務づけられる
  • KAMが導入されることを監査対象会社に説明して監査報酬を増やしてもらう(間違いなく、監査コスト増えます。)
  • 監査役等とKAMについて協議する、監査チーム内で協議する

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おわりに

監査の品質を上げること自体は大事だと考えています。

限られたリソース(人的資源)の中でリスクアプローチ監査を実施している点を鑑みると、通常の監査対応をひっ迫するような状況は作り出さないようにKAMとは向き合っていきたいと考えております。

監査の期待ギャップ(世間から期待される監査と実務上の監査の限界)を解消するような流れができると良いなと思います。

それでは次の記事でお会いしましょう!!!

公認会計士クロ

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