日本企業のIFRS適用の目的・メリット#2

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IFRS
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この記事を書いた人
クロ/会計士

公認会計士/会計監査News編集長/大手監査法人にて金商法監査・会社法監査業務・その他アドバイザリー業務を経験後、大手FASにて財務DDなどの業務に従事。/ブログやTwitterで公認会計士業界の情報や効率的な仕事術について発信しています!

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我が国において、IFRS任意適用企業は年々増加しています。

どのようなメリットがあって、IFRSを適用するのでしょうか。

名目上の理由と本当の理由は違うケースもあります。

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IFRSとは

IFRSとは国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards)のことである。

会計基準自体は各国で独自の基準が規定され、各国の経済的事象に合わせて、開示がなされています。

この点、各国で基準が違うため、IFRS導入することで比較可能性が向上したり、海外の投資家等へのコミュニケーションが円滑化するメリットがある。

例えるなら英語。英語を話せたら10億人と話せる。みんなが英語を話すことが出来れば、言語の壁が無くなる。(もちろん、語学ほど、基準間のギャップは少ない)

日本はIFRSを策定しているIASBと協力して、コンバージェンス(収斂)を進めてきた。つまり、日本基準とIFRSのギャップ差を極力無くそうと努力しています。

強制的にIFRSを適用した方が良いという意見もあるが、現在では任意適用(適用したい企業だけ自由にどうぞ)のみとなっている。

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IFRS適用会社の割合(上場企業)

IFRS適用会社にはどんな会社があるのでしょうか。

例えば以下の会社などが導入をしております。

JT、住友商事、SBIホールディング、丸紅、ソフトバンクグループ、武田薬品工業、アステラス製薬、伊藤忠商事、三井物産、三菱商事、ファーストリテイリング等

先行的に導入してきたのは商社や製薬業界となっており、最近はグローバル展開するメーカーも続々導入をしております。

IFRS適用会社の割合は以下の通りです。

ページが見つかりません | 日本取引所グループ
日本取引所グループは、東京証券取引所、大阪取引所、東京商品取引所等を運営する取引所グループです。

日本取引所グループより(2019年9月現在)

これだけ見ると、適用割合は低めですが、 2018年6月末時点 の公表データによれば

IFRS適用会社の時価総額の割合は東証上場会社の時価総額(670兆円)に対して

IFRS適用済会社(25%)、IFRS適用決定会社及びIFRS適用予定会社(8%)のシェアを占めているため、経済的な影響は大きいと言えます。

「会計基準の選択に関する基本的な考え方」の開示内容の分析より

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IFRS導入の目的・メリット

IFRS導入のメリットは適用企業によって様々ですが、以下のような目的が多く見受けられます。

  • 海外への資金調達の円滑化(海外投資家へのアピール等)
  • (在外子会社等も含む)連結グループ内での経営管理の指標を統一
  • 決算業務の効率化etc….

IFRS適用企業の有価証券報告書でも上記のような理由で導入されていることを注記していることが多いイメージです。

ですが、、、一番重要な導入のメリットはのれん償却負担の回避です!

(もちろん企業によりますが、先行導入した五大商社等は特にその可能性が高いと考えております。)

多くのIFRS任意適用企業はのれんの償却負担回避のために、導入コストをかけてでも、IFRSを適用してきました。

例えば五大商社の連結財政状態計算書(日本基準でいう貸借対照表)を見てみると以下の通りとなります。

(2019年3月期 各有価証券報告書より)

上記の通り、のれんの償却期間を20年(最長)と仮定したとしても、のれん償却費税引前利益にある程度のインパクトを与えていることがわかります。

例としてあげた商社はインダストリーの性質上、M&A(企業買収)が頻繁に行われているため、のれん残高が大きくなります。

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終わりに

今回はIFRS導入のメリットについて、まとめました。IFRS先行導入した商社の有価証券報告書を拝見していて、気づきもあり、楽しく記事を作れました。

のれんの非償却は魅力的な基準の一つで、大型のM&Aだが買収後の、のれん償却を気にして踏みとどまるケースもあります。しかしながら、今はIFRSでものれんを償却すべきという考えも強まってきており、今後の動向に注目です。

のれんを償却しない分、のれんの減損要否の検討には慎重に行う必要があると思います。投資の回収が出来ているのか正しく測定すること、問題を先送りにしないことが重要となってくるのではないでしょうか。

公認会計士クロ

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